シンポジウム

「過去の現在の未来2 キュレーションとコンサベーション その原理と倫理」

2017年11月23日(木・祝) 午後1時30分~5時
ミュージアムホール(定員250名)聴講無料
聴講ご希望の方は、当日直接会場へお越し下さい。
(開場午後1時)

インディペンデント・キュレーターの遠藤水城氏の呼びかけにより組織された國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会は、2014年に不慮の事故により急逝した國府理氏による《水中エンジン》(2012)の再制作を試み、これまでに「裏声で歌へ」(栃木・小山市立車屋美術館)、「國府理 水中エンジン redux」(京都・アートスペース虹)での展示を実現しました。この取り組みは、展示を重ねるごとに、現代美術作品の保存・修復や再制作に関連して生じる作品の正当性の根拠、保存対象とすべき物質・現象の理想と現実、再制作過程の記録の重要性とその価値付け、活動記録のアーカイヴの可能性などを問いかける実践ともなり、次第に國府理氏の《水中エンジン》という具体的で個別の作品の再制作の試みであるのにとどまらない、今日の美術館が取り組むべきより普遍的な課題を明らかにするものともなっています。

本シンポジウムは、國府理氏の《水中エンジン》ならびにその再制作プロジェクトをモデルケースとして、人類の営みを保存し未来へと伝えていく美術館の役割についての問い直しを行うものです。当館は阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして2002年に開館しました。当時の日本ではまだ多くはなかった保存・修復部門がおかれたことは、当館に課されたこうした使命を象徴しています。國府氏の作品が2011年の東日本大震災の経験を踏まえたものであることを考え合わせた時、本シンポジウムを当館で開催することの意義はいっそう重いものとなるでしょう。また、國府氏の母校である京都市立芸術大学の芸術資源研究センターとも協力し、現代美術の保存・修復の意義と課題を考えるシンポジウムのシリーズ「過去の現在の未来」の第2弾として開催します。

「國府理 水中エンジン redux」(後期展)、
2017年、アートスペース虹の展示風景
撮影:Tomas Svab

2017年11月23日(木・祝) 午後1時30分~5時
ミュージアムホール(定員250名、友の会優先座席あり)聴講無料

第1部 午後1時30分~
「國府理《水中エンジン》とキュラトリアルな実践としての再制作」
遠藤水城(インディペンデント・キュレーター)
白石晃一(アーティスト、ファブラボ北加賀屋)
高嶋慈(京都市立芸術大学 芸術資源研究センター 研究員)
(五十音順・敬称略)

第2部 午後3時~
「現代美術の保存修復の責務と倫理」
相澤邦彦(兵庫県立美術館 保存・修復担当学芸員)
加治屋健司(東京大学 大学院総合文化研究科 准教授)
田口かおり(東海大学創造科学技術研究機構 特任講師)
中井康之(国立国際美術館 学芸課長)
(五十音順・敬称略)
司会:小林公(兵庫県立美術館 学芸員)

主催:京都市立芸術大学 芸術資源研究センター、國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会、兵庫県立美術館
協力:京都造形芸術大学 ULTRA FACTORY、東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
助成:朝日新聞文化財団、アーツサポート関西、テルモ生命科学芸術財団
特別協力:田中恒子

※関連展示として11月21日(火)~11月29日(水)まで國府理《水中エンジン》および
 同作品再制作ドキュメント資料による展示をアトリエ1で行います。(観覧料無料)